ふたりの世界、ふたつの世界

可愛くて、夏(キュイキュイの日)

静くんは変だ。

───きゅいきゅいきゅいきゅい。

絶対変だ。

───きゅいきゅいきゅいきゅい♪

ロッテリア東口店の二人席。
大通りを見渡せる席に向かい合って腰掛けた。かくして静くんはハンバーガーをモフモフと食べ、バニラシェーキをきゅいきゅい飲む。

きゅいきゅいもふもふ。きゅいきゅいもふもふ。

思わずゲンドウポーズをして考えた。
考えてみて欲しい。彼は見ての通り歴とした成人男性だ。
その成人男性が幸せそうにバニラシェーキを飲む。極めつけにきゅいきゅいだ。
可愛すぎるっ!!
静くん天使っ!
平和島静雄はバーテン服の天使ぃ!!



───こほん。

内心の狼狽を隠して平静を装って、静くんに視線を戻した。
すると彼はサングラス越しに私を上目づかいに見つめ、ハンバーグをもふもふ食べた。



「静くんのばかっ」

衝撃に顔を逸らす。
彼は慌てふためきハンバーグを飲み込みむせる。次いで溶けかけのバニラシェーキを勢いよく飲み、顔を上げた。

───きゅい!

同時にストローが愛らしい音を立てる。
私の自我は崩壊した。

「もういやー!」

店外へ駆けだした。
後に残るのは、人々の喧噪と、

−!?」

わけがわからず泣きそうな顔で追いかけて来る静くん。
空には磨きたてたように輝く入道雲が浮かび、太陽が私達の追いかけっこを照らし出していた。

そういえば今日きゅいきゅいの日じゃーん!ってことで思いつきで書きました。静雄はきゅいきゅいバー天使!