[ 寝てしまった君に ]
「……ただいま」
は呟き、静かにドアを開けた。
時は夜半過ぎ。
大分遅くなってしまった。
静雄は多分寝ているだろう。
思った。しかしリビングの明かりは煌煌と灯る。
「静くん……?」
呼びかける声に返事はなく。
バーテン服のまま、寝入る恋人の姿に微笑んだ。
「ソファーで寝たらだめだよ」
鞄をおいて、頬に手を伸ばす。
瞬間引かれた腕。
「きゃっ!?」
普段より加減されていない。
痛みを訴えた腕をさすり、聞こえてないのがわかりつつも文句を言う。
「こら、静くん寝ぼけてるからって痛いことしたら怒るよ?」
「……悪ぃ……むにゃ」
「寝ぼけながら謝ってる……」
嘆息して、腕の中から逃れようと身をよじった。
しかし逃げようとすればするほど拘束は強く。
「んっ……静くん痛い」
「」
「もう、わかった! 離れないから」
すると緩んだ力と頬。
仕方ないなと呟いて、頬に口づけた。