デュララブパロディー

神のみぞ許される光景

*デュララブパロディーです。
来神高校。静雄夢ヒロインで保健室の先生。
ヒロインは今日も元気に通常運転です。





「野球拳? なんだってそんなもんで勝敗決めんだよ」
「そんな邪見に……野球拳の起源を知らないからそんな……無知ってのは怖い怖い」

放課後、見回りがてら校内を散策していると、そんな声が聞こえた。
次いで折原君が語る野球拳の起源の嘘説明。
奈良時代に始まっただの、神と審神者の遊戯がどうの……。
んなわけない。だが対する平和島君はあっさり騙された。

なにこの子可愛い。





今年の春から私は養護教諭として来神高校に配属された。
年若いゆえに起こる問題の大半も解消し、それなりに日々楽しんで働いている。
大学の頃のように気楽に……とはいかないのは致し方あるまい。
それに来神高校はおもしろい。こんなことを他の先生方に聞かれたら怒られてしまうが、真面目ぶったムッツリ君たちに囲まれているよりは、元気が有り余っている子たちと接する方が楽しいのではないかと思った。
そして教室から聞こえたのは「特に元気」な二人の生徒の声だった。
おもしろそうな気配を感じてドアの隙間からこっそりのぞきこむ。

「くそ……」
「あと一枚だよシズちゃーん」
「シズちゃんって言うんじゃねぇ!!」

見たのは、上半身裸のどや顔でたたずむ折原君と、パンツ一丁でうめき声をあげている平和島君。

ん……。
あ、BL的な?

よく見れば新羅君が隅っこで頭を抱えて悶えている。

あ……。
そういうプレイ?

くだらないことを考えつつ経緯を見守った。
次いで疑問を持つ。

男同士で野球拳して楽しいのかなぁ。

私は楽しいけれど。
思って平和島君の肉体美を視姦した。
まず最初の見所は筋の通った首筋だろう。流れるラインと色っぽい鎖骨。
引き締まった腹筋。
彼が暴れるところは数回見かけたが、医療をかじった人間にとって生きたびっくり箱みたいなものだ。
直に肌を見た今、その感慨は強くなる。
どうやったらあの体つきで標識をちぎれるほどのパワーが出るのだろうか。
だが今一番大事なことは、そんなことではない。
引き締まり、割れた腹筋。
そして艶めかしい腰を隠しているのは、布一枚。
トランクス。

今だ!脱げ!

声援を送った。
思った次の瞬間には決着が付く。
グーチョキパー。
なるほど。
「神が降りてる」とか中二全開の発言はそういう意味か……イタい。
越えて痛々しいなと思った。
しかし、今は気にならない。

なぜならショーはこれからだぁ!!!
テンションが上がった。
平和島君が「くっ」と悔しそうにうめき、トランクスに手をかけた。「俺は男だ! やってやろうじゃねぇか!!」
胸の鼓動を押さえて、生唾を飲み込んだ。
その時、

先生?」
「……門田君、どうしたの」
「いや通りかかっただけですけど」
「私と一緒ね」

無警戒の背後からかけられた声に、内心びっくりしながら、表面上は取り繕って。

「先生はなんでうちの教室を?」
「見回りしてたら声が聞こえたから何かと思ったんだけど……あ!!」

手を打って、ドアを勢いよく開ける。
平和島くんはトランクスに手をかけている途中だった。
……ちっ。

「君たちなにしてんの?」
ちゃん先生?」
「わーー!静雄君!!」
「わーーーー!!!せ、先生!?」

慌てて服をかき集めて胸元を隠した平和島君。
……なんで胸?
疑問を持ちつつも、ごまかすのが先決。

「またいつものもめ事?」
「ちょっとね」

さわやかな笑顔を浮かべる折原君。
ちなみに上半身裸。
考えて、ドアの前で仁王立ちしたまま腕を組む。

「よくわからないけど学校で騒ぐのはほどほどにね。新羅君もたまにでいいから止めてね?」
「「はーい」」
「あと平和島君」
「……はい」
「さすがにその格好はちょっと。着替えたら保健室で反省文」
「は!? つーかそんな権限!?」
「ないよ。でも担任の先生にわざわざ言うのもなんだし……でもこれはちょっと……」
「こいつらはどうなんだよ!?」

傍らの二人を指さす。

「後日ってことで」
「はぁ!?」
「さっすがちゃん♪」
「静雄君、落ち着いて」

怒り心頭の平和島君。
指を振って言った。

「うん、後日……折原君と新羅君は罰として明日から一週間教室の掃除ってことで。担任の先生には伝言しておくわね」

後ろでにひらひらと手を振って、阿鼻叫喚の教室を出た。
これから過ごす平和島くんとの時間に鼻歌を歌いながら。





その後の保健室の様子はご想像にお任せします、ということで(笑)