ふたつの世界、ふたりの世界

420の日!

これは彼と彼女のとある休日の出来事である。



モフモフ。

キッチンでお昼ご飯を作っていると、甘く呼ぶ声がリビングから。
「ちょっと待ってね」エプロンで手を拭きながら答える。次いでキッチンから顔を出した。
ソファーで寝転がる静くんと目が合う。

「どうしたの?」
「……構ってくれ」

きゅーん。

幻聴が聞こえた。柴犬、チワワ、ゴールデンレトリバー?
いくつかの犬種が頭の中で浮かび消えた。

「もうすぐお昼ご飯できるから」
「ヤダ」
「こら!」

つかつかと歩み寄り、ソファーで寝転がる静雄の前で手を出す。
すると、

「う……」

しょぼくれた顔でぽんっと右手を差し出した。
しかし、「良い子」頭を撫でると一変して嬉しそうに笑う。
その姿に内心で身もだえしながら、キッチンに戻った。静くんは最終兵器的な何かだと思う。



きゅいきゅい

が作ってくれたハンバーガーを食べながら、DVDの再生ボタンを押す。
始まったのはドラえもん雲の王国。
がTSUTAYAで借りてきた。
バニラアイスを食べるのを眺め、思いついたいたずらに頬が緩む。
膝の間に座って楽しそうに画面に見入る彼女のくちびるの端を舐めた。甘い液体が 舌先を通り口内に広がる。

「アイスもらいっ」
「静くんったら」

大して怒ってない顔で文句を言った。
上目づかいに見つめる長いまつげ。
すげえ可愛い。
困った。
そうだ、キスをしよう。

「やだ、もうっ……始まってるでしょ」

ちゅっちゅきゅいきゅいきゅい。
ドラえもんのテーマに合わせて、いろいろな場所に軽く吸い付いてみた。



ぷりんと四次元空間

「あーん」
「あーん……っ!?」

ハンバーガーを食べ終わったのでプリンの蓋を開けた。
が一口欲しいと言うのであーんした。
問題はここからだ。

ツル、うにゅ、ニュルー。

胸の谷間に吸い込まれていくプリン。
堅焼きだったらこううまく吸い込まれなかっただろう。プッ○ンプリンは神か?神なのか!?まさか別次元の神!?
谷間の神秘を知った。きっと四次元とかそういう場所と繋がっているに違いない。

「静くん、見てないでタオルとってきて!」

怒られた。



むにゅむにゅ

映画を見ていた。
静くんはソファーに座り。私は彼の膝の間に腰掛け、胸元に寄りかかる。
物語も佳境に近づき、緊迫する場面。

「……っ!?」

胸を揉まれた。
無意識?画面に集中してるのに手のひらはむにゅむにゅ。
頭の中に?を浮かべつつ物語の推移を見た。
……わざとじゃないよね?
静くんっておっぱい星人なのかなぁ?
……じゃあ杏里ちゃんがライバル?でも彼女は年下だし。でも杏里ちゃんってちょっと静くんの好みのタイプなんじゃないかと思ったり。
考えているうちにストーリーは感動的に盛り上がり、終わった。きりが良いので聞いてみよう。
涙で潤んだ瞳をじっと見つめた。

「静くん」
「あ?」
「おっぱいとプリンどっちが好き?」

ぶはぁ!
何かを吹き出す盛大な音と共にものすごく挙動不審な静くんが誕生した。
今度おっぱいプリンでも作ってみようかな?