海でもやっぱりいちゃいちゃしているお話。コテージに宿泊します。
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2011.08.21
海のすぐ側に立つ小綺麗なコテージ。
純白のカーテンが潮風に揺れ、青い空と水面が見えた。
降り注ぐ日差しは砂浜を照らし、旅行気分をいやが上にも高める。
静雄はサングラスを取り目を細めた。
振り向くとダブルベッドの上で猫のように身体を丸めるが映る。
「広いね」
「ん」
幸せそうに枕にほおずりするのを見て、妄想が駆け抜けた。今すぐ後ろから抱きしめて、キスをして、そして……。
「静くん?」
「着替えるか」
「うん」
浮かんだ卑猥な映像を払って、提案した。
次いで旅行鞄から水着を取り出すのを眺める。Tシャツをお腹のところでぺろりと捲った。縦に割れたおへそに見入る。すると、
「静くんはあっちで着替えて!」
ぼふっと音がして自分の水着を顔面キャッチした。
しぶしぶ部屋から出ると彼女が鼻歌を歌うのが漏れ聞こえる。
「……ま、いいか」
旅行ははじまったばかりだ。
静雄はひとりごちる。
今日からふたりきりの旅行。初めての海だ!
にやける顔を隠すことすらせず、着替え始めた。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。
静雄は苛立っていた。
反面浮かれてもいる。
全ての原因は彼に身を寄せてはしゃぐ彼女にあった。
「静くん、海が綺麗!」
澄んだ声が響く。
白い砂浜、青い海、晴れ渡った空。
そして水着。
白い腕が波打ち際を指すとあらわな谷間が強調された。ビキニタイプの水着というだけで露出が高いのに、チューブトップ仕様。上向きの胸を包むのは一本紐のような布きれのみ、しかも後ろで縛る仕様のデザインだった。静雄は内心身もだえていた。なんだよこの露出度。俺が後ろから胸を掴んでいれば水着必要なくないか!?
揉み放題だし……駄目だ俺、よく考えろそんなことしたら正座で説教がまっている。我慢だ、俺!
……今すれ違った奴のおっぱい見たな、見やがったな!?これは俺のだ、殺す、今すぐメラっと殺してやる!
踏み出しかけた足はビーチサンダルに踏まれた。
「静くん、私の話聞いてた?」
眉を寄せて呟く。
「あと私の胸は私のだからね?」
どうやら口に出していたらしい。
恥ずかしかったのか、耳元にくちびるを寄せて小声で言った。日差しのせいか羞恥の為か頬は僅かに紅潮している。あとちょっと胸を寄せているのはわざとか!?わざとなのか!?
静雄は諸々の理由により視線を逸らし、浜辺の一角を指さした。
「ビーチパラソル借りてくるから待ってろ。変な男が来たらすぐ呼べよ?」
「はーい」
語尾にハートマークが飛び交う返事に鼻の下を伸ばした。
次いで引き締める。
海には危険がいっぱいだ。
特に俺のを邪な目で見る男。
今度見やがったらその目を潰してやるからな。決意も新たに海の家に向けて歩き出した。
静雄が大人四人が余裕で入れるパラソルを抱えて砂浜に戻ると、
「お姉さん俺たちと遊ぼうよ」
「間に合ってます」
「いいじゃん、ほら俺たちライフセイバー!君のことも守ってあげるよ」
レジャーシートの上に座る彼女の前に二人の男がいた。
それは明らかなナンパで、
「てめえら俺のに近づくんじゃねええ!!!うらああーー!!!!!」
彼の短い導火線に着火するに値する行為だった。
ビーチパラソルを地面に突き刺すと、ナンパ男達の頭蓋骨を鷲づかみにし、天高く持ち上げる。
情けない悲鳴が間断なく続き、突然止んだ。次いで頭部から聞こえためきょっという音と共に男達が泡を吹く。
「し、静くん!もう良いから!……やめなさーい!!」
その声に魔神のごとき表情が少し和む。
だがまだ離さない。白目を剥いて気絶した男達の手足が揺れていた。
「死んじゃったら困るでしょ!その辺に捨てておきなさい!!」
「……仕方ねえな」
ポイっ。
そんな効果音が聞こえそうなほど軽快に男達は地平線の向こう、砂浜の果てに向けてすっ飛んでいった。
見えなくなると、静雄はわずかにいらだちを残した表情で深く突き刺さったパラソルを引き抜きビニールシートの真上に立てかける。
は体育座りをしたまま話しかけた。
「静くん」
「……あ?」
不機嫌に応える。
だが彼女の言葉と行動で一瞬にして消えた。
自らの白い肩に触れ、僅かに身を乗り出す。桜色のくちびるが弧を描いた。
「日焼け止め塗って」
「……自分で塗ればいいだろ」
「違うの、背中は一人じゃできないでしょ。お願い」
「貸せ」
言葉とは裏腹に丁寧にボトルを受け取る。
「待ってね……はい、お願いします」
ビニールシートに寝転ぶ。
静雄は右横に座り、見下ろした。
きゅっと引き締まった足首に形良いふくらはぎ。視線を上げると魅惑の太もも、そして柔らかくて弾力があるお尻。その上つぶれた胸がはみ出していた。
ごくり、生唾を飲み込んだ。
さらに追い打ちをかける言葉。
「ブラ取って」
「……は?」
「だから取ってから塗ってね?変な日焼けすると困るから」
衝撃を受けた。公共の場でこんな行為をしてもいいなんて。
まずは呼吸を整えて腰の部分に日焼け止めを塗る。きめ細やかで柔らかい肌の上を滑る手。変な快感に目覚めそうになるのを堪え無言で塗った。
「ひゃふっ静くんくすぐったい」
「声出すなよ」
「だって、ひゃふっ」
身をよじって笑う姿が扇情的に映った。
俺は石、言葉を心の中で唱えながら手に取った分を塗り終わる。
次いで最大の難関。
「……っ!!」
震える手でブラの縛ってある部分に手を伸ばした。
ゆっくりほどく。横乳見えた。
普段はもっといろいろな場所を見ているはずなのに。
太陽の下という背徳感だろうか。
思わず打ち寄せる波を見た。
綺麗だ。
世界は美しい。
そんな彼らしくないことを考えながら日焼け止めを塗り続けた。
準備万端にパラソルの下を出て、海に飛び込む。
ひとしきり水の掛け合いをした後、静雄が海の家で借りてきたクジラフロートで遊ぶことにした。
は170センチほどのビニールクジラに器用に跨がり、背びれを掴む。
「静くん、ひっぱって」
「まかせろ」
クジラの鼻先を持ち沖へ向けて進んだ。
楽しそうに歓声を上げる彼女を見て静雄の表情もゆるむ。内心は、
(太ももがむちっとして、お尻の形も変わってるし、おっぱいはむにっとしてるし……たまんねえ)
ムッツリしていたが真夏の太陽のさわやかさに紛れた。
「静くんも一緒に乗ろう」
「沈まねえか」
「大丈夫だよ。ね、一緒に乗ろう?」
言われて乗らない手はなかった。だってあれだろう、密着していいってお許しがでたんだよなあ!?
水深は既に胸近く。普通の人間であれば飛び乗るのは難しかったかもしれない。だがそこは平和島静雄。
水しぶきの音をたて、次の瞬間にはの背中に密着していた。
そして調子に乗る。
「しっかり捕まってね」
「おう」
しっかり捕まった。
胸に。
むにぃっとチューブトップが変形し、胸を潰さないように力を入れたら手の甲に血管が浮かび上がった。
「ちょっと静くん!?」
「悪りい、捕まることころがなかったからつい」
「ついじゃないでしょ、離して」
いつも通りの騒がしさでいちゃつく二人。しかしそこは海の上。
かしぐフロート、慌てて体勢を直そうと思ったときは遅い。
「うお!?」
「きゃー!!」
フロートがひっくり返り、盛大な水しぶきがたち水面に飲み込まれた。
最初に静雄が、次いでが髪までびっしょりになって浮かび上がった。
顔を見合わせ、吹き出す。
「静くん髪びしょぬれ」
「こそ」
言いながら額に張りついた髪をとってやろうと手を伸ばす。
瞬間、静雄に旋律が走った。
水着の下に隠されたぷりんとしたおっぱい。チューブトップの下に隠されていたそれが、
「うわあ!?隠せ!」
水着がずれ、つんとした頂まで丸見えになっている。
周囲をきょろきょろと見回しながら慌てて掴んだ。
「へ!?」
「……うわ……あ」
もみもみ。
自然な動作。一環として揉みしだいていた。のこめかみがひくつく。
「いつまで揉んでるの!?」
左手で胸元を隠して右腕。グーパンチが頬に飛んでくるのを甘んじて受けた。
「かき氷を食べよう!」
「スイカ割りをしよう」
「ビーチボールがしたい!」
静雄は彼女に言われるまま海水浴を楽しんでいた。
そして休憩がてら夏の風物詩を口に運ぶ。山盛りのかき氷。自分はいちご、彼女はブルーハワイ。
「よくそんな変な色のもん食えるな」
「海に来たって感じがしない?」
「そうか?」
にこにこと顔を見合わせながら淡雪をスプーンで掬う。
「するわよ。はい、あーん」
「っておい、一口多すぎないか?」
「気のせいだって、あーん」
そういうもんか?静雄は山盛りの氷を口に含んだ。目をぎゅっととつむり頭を突き抜ける感覚に耐える。
「、きーんってしただろうが」
「やっぱり?」
「わざとか!ほらお前も食え」
「やだぁ」
は口元に寄せられた氷から逃れようと身をよじる。
だからわざとではない、わざとではないのだ。
スプーンからするりと落ちたかき氷。それは彼女の谷間に着地する。
「ひぅ!?」
火照った肌の上であっという間に溶け、胸の谷間を落下した氷。
エロティックな光景に身を乗り出した。
すると怒りに燃える瞳と豊かな胸元が見上げる。
「静くん、正直に言いなさい、わざと!?」
「ちげえし!そもそもが避けたから悪いんだろ」
「私のせいにするの!?えーい、仕返し!」
スプーンにかき氷を搭載したまま頬にぴたりとくっつける。
「つめてっ!」
「ふーんだ、静くんが悪いのよ」
「んだと」
仲良く喧嘩をしながらかき氷を食べた。
食後は定番の、
「あっかんべーして」
「べー」
「静くんの舌赤い!」
「も見せてみろよ……青い!エイリアンみたいになってんぞ」
ふざけ合って、笑顔。
その後も日が暮れるまで、スイカ割り大会でスイカを粉砕したり、ビーチバレーがおっぱいバレー(静雄談)と楽しい一日を過ごした。
彼女に近づく男に眼をくれるのも忘れない。はで他の女が近づく度にいちゃついてきた。なんだ?嬉しいからいいけど。
ただ彼には一つだけ納得いかないことがある。
(お尻のくい込みを直す動作がエロかったから真後ろに座って見ただけなのに怒られた。触るのは我慢したのに……理不尽だ!)
性青少年の悩みであった。
海から上がり、夜。
シャワーも浴び終わり団らんの時間を過ごしていた。コテージの広い台所で、長身の男と小柄な女が甘い雰囲気で夕飯を作っている。
「人参はすり下ろしていいよな」
「……んーいいけど」
「いいだろ」
「はいはい」
は手慣れた仕草でジャガイモの皮を剥くと水を張ったボールにいれる。対して静雄は涙ぐみながらタマネギを刻んでいた。
「静くんこっち向いて」
真っ白いタオルで目元を拭う。
大人しく受け入れた。すると彼女の瞳が恍惚で潤む。
「涙ぐむ静くん……可愛い」
「可愛いってなんだよ!?」
「かわい静くん」
「ざけんな!可愛いっていうのはみたいなことを言うんだ、俺なわけないだろうが!」
「静くん、怒るときは包丁置いてからね?」
「……ああ」
深呼吸をして肩を落とした。
「悪い、でも俺は可愛くないからな」
「かっこいいんだよね?私静くんのそういうところが好き」
耳元にくちびるを寄せて。
内緒話のごとく囁いた。
闇の中、さざ波が打ち寄せていた。
空には満天の星、コテージの光と時折通りかかる車のヘッドライトが二つの背中を照らす。
寄り添ってベンチに腰掛け、片手にはビールと缶チューハイ。は彼の肩によりかかった。
「綺麗だね」
「だな」
潮風が二人の頬を撫でる。
「気持ちいいな」
「……うん」
「眠いのか?」
「ちょっとだけ」
くちびるをきゅっとすぼめて、微笑む。
静雄は彼女の頬にてのひらを添え、
「」
くちびるを重ねた。
缶チューハイをベンチにおいて抱き寄せる。最初は怖々だった抱擁も、今は容易に力の調節ができる。酔いもあってか感情がこみあげた。
「俺すっげえ幸せ」
「私も」
「、好きだ」
「私も」
「……ちゃんと言えよ」
頬を撫でながら眉をしかめた。すると彼女は大人びた笑顔で、
「大好き、愛してる。静くんずーっと一緒にいてね」
「おう」
もう一度重ねた。
海辺から戻り、居間で和む。
広々としたソファーに座って酒を飲み、次いでリビングの一角に鎮座する畳の上に寝転んだ。
「飲み過ぎちゃった」
「……ん」
広い胸に抱き寄せる。は猫のようにすり寄ると首筋に顔を埋めた。
(こいつほんと可愛いよなあ、年上には見えねえよ。……まあ普段は軽くあしらわれちまうことが多いけどさ。にしてもシャンプーのすっげえ良い匂いがする。たまんねえよ。さていちゃいちゃして、キスして……一日我慢したんだ、一回、いや二回、できれば三回!)
潮風と海に入ったせいで少し痛んでしまった髪。でも手触りはいつも通り柔らかくて気持ちが良い。
静雄ははやる気持ちを抑え、話しかけた。
「なあそろそろベットで……?」
「ん……しじゅくん……起きてるよ……」
疲れとアルコールが相まって滑舌がはっきりしなくなる。
内心で冷や汗をかきながら、問いかけた。男のプライドだ。
「寝る、か?」
「……うん……ううん……だって……」
完全に閉じた瞳で返事をする。
どう見ても寝ていた。
(?まじかよ……旅行は夜が本番じゃないのか?すっげえ楽しみにして今まで我慢してたのにっ!……だけどが寝たなら仕方ないよな……疲れたんだよな……はあ)
がっくり項垂れる。
だが決意して、
(ベットに運んでやるか)
抱き上げて、ため息をついた。
□□□
翌朝、目を覚ましたは浴室で絶叫する。
「静くん、何これ!?」
「冤罪だ!俺はちょっとキスマークつけただけで……」
「静くんのエッチ!寝てる時にするなんて反則だよ」
「だってお前がちゅっちゅしてっていうから」
「普通に口にすればいいでしょ!?」
「うるせえ!あの体勢で我慢できるか!寝ぼけてるくせにすっげえエロい声だしやがって、あれで我慢した俺の身になれ!むしろ褒めろ!っていうか今すぐ一発ヤラせろ!!」
「うわっ、最低!」
言い争いをする二人。
朝の柔らかな日差しと打ち寄せる波の音が見守っていた。
幽の紹介で泊まることになったコテージの期限は一週間。
二人の旅行はまだ始まったばかりだ。
最後までお読みいただきありがとうございました!
このお話は静ちゃん誕生日祭りアンケートを行った際頂いた「旅行、沖縄とか」というご意見を今更ながら採用させて頂いた一作になります。でも特に場所は限定していません。どこかの海の側にあるコテージが舞台です。お好みの海でご想像ください。
そして二人の露出度が高いせいか、エロ度というか下ネタ度というかは高めです。楽しかった!ムラムラ系男子が好き!(笑)
ご感想等一言でもいただければ嬉しいです。それではまた。