歩調に合わせて揺れる髪がつややかに光って、相変わらずまっすぐな背筋だと、口角があがる。
「照…」
だけど声をかけようとして、視線がずっと下を向いていることに気づく。
何してんだ?
後ろから近づいて上からのぞきこめば、照木は手元の携帯をじっと見つめては指を動かしていた。
別に自慢でも何でもないが、俺の視力は両目ともかなり良い。
その目が、いくつかのブランド名とうちの高校でも早七不思議に組み込まれそうな勢いの、ある教師の名前をとらえた。
「惇明先生のファッションチェック…??なんだそりゃ?」
「きゃ…!」
俺の声に照木は両肩を飛び上がらせ、ばっと振り返った。
光を反射した瞳が2度3度、瞼に隠れては現れるのを繰り返すと、白い肌がきれいに染まってちょっと驚いてしまった。
照木って肌白いんだな…。
「み、三双萩君…!?」
「あぁ。照木、なんだそれ…面白そうなメールじゃん」
照木の手元を指さして言えば、「え!?あ…う!?」とだいぶ慌てた声が続いた。
「それ、誰から回って来てんだ?」とニヤニヤ笑って問えば、「な、なんで?誰からでもいいと思うけど…」なんて言葉が返るから、少しだけ顔を近づけて告げる。
「俺にも回してくれよ」
「……えぇ!?」
「照木、通信できるだろ。俺のデータ送るから…っと、ほい」
「ちょ、ちょっと待って……えっと…」
自分の携帯を近づけてさっさとデータを交換してしまう。
よし!面白そうなものゲット!
惇明先生は教師のくせに全身ブランド物や高級品で固めた面白不思議教師だというのが俺の認識だから、これからメールが届くのが楽しみだ!
それを思って笑い、「次の新しいのもちゃんと送ってくれよ〜!」なんて照木に手をひらひら振りながら歩き出せば、照木はちょっと呆然としながらも小さく頷いたみたいだった。
少し進んで、そういえばと振り返って俺は言った。
「照木〜、夏は紫外線に気をつけろよ〜。お前肌白すぎ」
背後から変な叫び声が聞こえてきたような気がしたけど、気のせいか?
2009-07-18掲載
マガリさんがやってくださいました!!もらったー!誰にもやらーん!
2周年&30万hit記念でいただきました。本当にどうもありがとうございます!!