冷血Girl

現状を肯定した日


なんつーか。

「一昨日おいで」

彼女は花瓶の水を頭からひっかけられ、好き(?)な人に「二度と来んな」と切り捨てられた。そこだけ見ればちょっぴりカワイソウだ。だけど先行してハルヒの教科書を水浸しにしたり、襲われたフリしたり……と墓穴を掘ったのは彼女自身だから同情はしない 。
ま、自業自得ってやつ?
はっきり言わせてもらえば馬鹿だ。こんなお粗末なやりかたで気づかないほうがどうかしている。
それとも環君達が味方になってくれると思っていたのかな?お嬢様独特の世界の中心は私!理論で(心の中で思うのは自由だけど態度に出されるとムカつくアレ)

「あんたアホの極みだよ。 みっともない」









とあるうららかな昼下がり、ハルヒがホストになった。
正確にはホスト部部員に。
原作を知っていた私としては来るべきときがきたというか、やっちゃったねと言うべきだったのか。現在のハルヒのためだけを考えるなら、「今日から君はホストだ」のエピソードは潰しても良かったのだ。するとなし崩しに双子の成長だとか環のなんちゃらだとかが起きないことになるけど、そんなの知ったことじゃない。
自力でがんばったら?
でも問題はハルヒ。
彼女の夢は母親のような弁護士。だが今のままでは正直難しい。何故なら弁護士って結構大変。給料と社会的地位は高さに比例して、精神的にも肉体的にもハードな職業だもん。しかも話を聞く分にハルヒママさんは(ちょっと変わってるけど)けっこうな人格者だったみたいだしね。
つまり「母の様な弁護士」になるために、ハルヒは補わなければいけないものが山ほどある。しかも一人でどうにか、は無理だな。あの子意外と頑固だし。
私がなんとかしてあげられたらよかったのだけど、それは無理。自分で言うのも何だから言わないけど、人間には向き不向きというものがある。故に出来ないことは出来ないと認めて得意な人に任せるのも一つの判断!
ということで私は決めた。
放っておく!
思い切りよく壷を割ったらいい!!
だけど白状しよう、この時点で私はまだ少し迷っていたのだ。
私はハルヒの友達、それはなし崩しに原作にかかわる可能性が高いことを意味する。
でも今ならまだ加減できる。ハルヒの中学校時代の友人として生暖かく見守ることもできた。
それはつまり逃げでもある。ここが桜蘭高校ホスト部の世界だと気づいてから頭の片隅に持ち続けていた疑問。すなわち私の介入によって物語は変化するか否か。
別に何かを変えたいわけじゃない。でももし私がなにをしようとも変わらない筋書きがあるのだとしたらそれはあまりに空しいことに思えた。
しかし、

「きゃあああーー! 庶民が乱暴を!!」

なんてアホ全開の台詞を聞いた瞬間、

「あんた馬鹿でしょ?」

すっぱり切り捨てた。
それは目立つなんてもんじゃない。
私は掛け値なしに、物語への参加表明をしたのだった。

ふぅ……やっちゃったね。
やっちゃったよ。








ま、







いいか。
なるようになるでしょ。