冷血Girl
トラ☆ウマ解決大作戦☆inハルヒ
15巻ネタバレ注意
「カレー作り?」
「うん、企画……自分なりに考えてみたんだけどダメかな……?」
ドングリまなこがキラキラと見上げた。
女の子は恋をすると綺麗になるって言うけど、本当だな。
長期不調中の環くんに代わって、鹿谷の曇った顔に笑顔を取り戻す!……なんて少し前の彼女じゃ考えられない。
「詳細は鏡夜が詰めるってことなら協力する。 いいわね?」
「いくら出す?」
「死ね」
ニコニコ笑顔の会話を繰り広げる。すると第三音楽室に冷たい風が吹いた。
「…………」
「どうしたのハルヒ?」
「……鏡夜先輩がすごく怖いんだけど」
「放っておけばいいの」
と、いうことで「カレーを作ろう」校内オリエンテーリング当日がやってきた。
「鏡夜って意外と心が狭いのね」
クロスワードパズル最終チェック中話しかける。
鏡夜ってばいつまで怒ってるんだ。しつこいな。お茶目だっていうのにトゲトゲしちゃって、困ったやつ。
放っておいてもいいけれど、それだと私の仕事が増えるから困る。
───最終兵器を使おう。
「鏡夜」
「何か用か?」
「キスして」
机の上に置かれた彼の手に自分のものを重ねた。次いでまっすぐ見上げる。
表情の変化はなし。
だけど重ねた手のひらから伝わる早い鼓動が、彼の感情の変化を教えた。
「ば、馬鹿なことを言ってないで準備に勤しめ。 そろそろ最初の関門突破者が……っ」
有無を言わせずネクタイをひっぱり、瞳を閉じた。
戸惑う気配。
そして近づく。
「お前らなにやってんだ!?」
パチリと開くと般若の形相と、扉を観音開きに勢いよく突入して来たアメフト部の面々。
ゆらり、陽炎が立ち上った。
「……コロス」
あーあ、鏡夜が怒ったー。
肩をすくめ、手をかけたままだったネクタイを再びひっぱり、
ちゅっ。
とってもフレンチなくちづけをした。
満山先輩の楽しそうな声と握りつぶされたオレンジの音が響く。
「まあ」
「貴様ら何をやっているー!!??」
詳しい描写は避けるが、鏡夜って怖くて愉快なやつだなと思った。
それはともかくオリエンテーリングは大成功を収めた。
参加者の面々も楽しそうだったし、鹿谷さんは笑顔を取り戻した。
あとでハルヒをいっぱい褒めてあげようっと。
2009.09.23