僕にとってあの人は、どんな意味を持つ存在なのだろう。そしてあの人の瞳に僕は、どんな風に映っているのだろう。
知りたい……けど怖いからまた今度にしてもいいかな。
初めて出会った時、僕は花壇の影でめそめそ泣いていた。最初励ましてくれた彼女は、なんだかすごく辛そうに見えて。それを指摘したら、不意に泣き始めてしまった。
なにかが堰を切ったように大粒の涙を流した彼女。透明な宝石のみたいに、零れ落ちるそれがきらきらと輝いて、───生まれて初めて女の人を可愛いと思った。
もちろん春姫と彼女は違う。
……だ、だから違うんだよ春姫!!
さんはもっとなんというか、芯がしっかりしていて強くてかっこ良くって、でも……たまに魅せる無邪気な笑顔が可愛くて……食べてしまいたくなる……。
え?……ち、違うんだ春姫!浮気なんかじゃないんだ!
へ、変態!?
そんなつもりはなかったんだよぅ、春姫お願い捨てないで!
だけど、力強く手を握られて、
「克洵さまなら絶対に出来ます」
と励まされた時は頭の奥の方がぼーとして、なんだかやたら甘くって、何がなんだかわからないうちに頷いていた覚えがある。
で、でも違うんだ!これは恋とかじゃなくって、
認めてもらいたい。
大叔父様の代わりなんかじゃなくて、一瞬でもいいから僕自身を見て欲しい。
ただ、それだけなんだ。
百合の咲く季節に
戻る
人気投票で克洵を激プッシュしてくれている方を発見して、うれしくなって書きました。さんったら小悪魔だなー(笑)