冬姫の帰還




 僕にとってあの人は、どんな意味を持つ存在なのだろう。そしてあの人の瞳に僕は、どんな風に映っているのだろう。
 知りたい……けど怖いからまた今度にしてもいいかな。




 初めて出会った時、僕は花壇の影でめそめそ泣いていた。最初励ましてくれた彼女は、なんだかすごく辛そうに見えて。それを指摘したら、不意に泣き始めてしまった。
 なにかが堰を切ったように大粒の涙を流した彼女。透明な宝石のみたいに、零れ落ちるそれがきらきらと輝いて、───生まれて初めて女の人を可愛いと思った。


 もちろん春姫と彼女は違う。
 ……だ、だから違うんだよ春姫!!
 さんはもっとなんというか、芯がしっかりしていて強くてかっこ良くって、でも……たまに魅せる無邪気な笑顔が可愛くて……食べてしまいたくなる……。


 え?……ち、違うんだ春姫!浮気なんかじゃないんだ!
 へ、変態!?
 そんなつもりはなかったんだよぅ、春姫お願い捨てないで!










 だけど、力強く手を握られて、

「克洵さまなら絶対に出来ます」

 と励まされた時は頭の奥の方がぼーとして、なんだかやたら甘くって、何がなんだかわからないうちに頷いていた覚えがある。
 で、でも違うんだ!これは恋とかじゃなくって、

















 認めてもらいたい。
 大叔父様の代わりなんかじゃなくて、一瞬でもいいから僕自身を見て欲しい。
 ただ、それだけなんだ。












百合の咲く季節に













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人気投票で克洵を激プッシュしてくれている方を発見して、うれしくなって書きました。さんったら小悪魔だなー(笑)


2008.7.30 This fanfiction is written by Nogiku.