イヌミミミ!!
時間軸は少し未来です。不定期で多分続きます。
あらすじ:朝起きたら静雄に犬耳が生えていた!のでモフってみた。
アイデア提供:Mさん&Sさん。どうもありがとうございました。
現在三話(新羅宅)まで。

ご感想等お気軽にいただけると嬉しいです。ウェブ拍手

2010.07.25-09.20
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朝起きたら犬耳だった

深夜、ベットに大きな身体が潜り込んで来たことに気づく。
暑苦しさに押しのけるが、絡み付いた腕ががっちりと抱き寄せ、首元に擦り寄った。

「暑い……狭い」
「ん……すぅ」

薄く目を開くと安らかな表情で眠る静くん。
寝ぼけて潜り込んで来たらしい。小さく肩をすくめて、柔らかい髪を撫でた。
そして翌朝。
くすぐったい感触に目を覚ます。

「首舐めちゃだめ、くすぐったい……こら」

カーテンから漏れる光を反射して、輝く金髪。
撫でながら、静止の言葉を投げかけた。
だが、

しゃく。

変な触り心地に睫毛が揺れた。
しゃくしゃくしゃくしゃく。

……」

なおも激しく舐め続けるワンコを平手で殴る。次いでしっかり目を開いた。

「今日は甘えんぼ? でもいい加減にしないと……え?」

視界に映るのは綺麗な髪と後頭部、犬耳。
思わずつつく。
すると静くんが変な声をあげた。

「……っあ」

エロい。もう一度つついた。
すると肩が震える。
本物?以前に私が被った猫耳とは大違いだ。

「静くん」
「……うん?」

呼ぶとベットが軋み、伸しかかるでっかいワンコ。
犬髭とかは生えていないようだ。いつも通りかっこいい。
頬を撫でると、

、おはようの……は?」
「いいよ、どうぞ」
「……」
「静くん、おはようのちゅーして?」

言い直すと喜び勇んでくちびるを舐めた。
瞬間、彼のお尻のあたりで何かが揺れる。
不思議に思って、掛け布団を剥がすと、

「しっぽ……って、それもうおはようのちゅーの範囲じゃないから」
「……う」

不満そうな顔で離れる。
しっぽが足れた。
しっぽまで生えてる。
条件反射でジャージのズボンをひっぺがした(半ケツだったので楽勝だった)

「わっ何すんだ!?」

気にせずぺろっと剥がし、私は見た。
お尻から生えたしっぽ。あとお尻綺麗。
握ってみる。

「ひゃっ」

耳を触った時より遥かに大きな反応に今度は撫でる。
しかして赤い顔でぷるぷるする彼。
しばらく眺めていると、

「離せ」

我慢の限界とばかりに振られたしっぽ。
ぶつかる。 はね飛ばされて落下しかけた。

っ」

伸ばされた腕と焦った表情。
抱きしめて、頭上で息をつく音が聞こえた。 次いで耳がしょぼーんとし、しっぽが足れる。

「悪い」
「大丈夫」

頭を撫でると、しっぽが小さく振れた。
可愛いな。いつでも可愛いけど、素直すぎて可愛いな。
しばしそれを堪能し、次いで問いかけた。

「なんで犬耳生えてるの?」
「は?」

ぽかんという形容詞そのままの顔を見て、今度は抱きしめてみる。
勢いよく振られるしっぽを眺めながら、犬種はゴールデンレトリーバ?なんて思った。

うちのワンコは元気です。

「さて、どうしようか?」
「新羅、ブッ殺す」

ぶっそうな言葉を吐く静雄に対して、柔らかく微笑んだ。
次いで笑顔のまましっぽを掴む。

「っ……!!」
「くすぐったい?……それとももしかして、気持ちいいの?」

のぞき込み、ドSの笑顔を浮かべた
通常ならなし崩しに彼女のペースになってしまう言動。
しかし今日の静雄はひと味違う。外見が内面に影響をもたらしていた。
つまり本能全開。
一瞬我慢した後、勢いよく飛びかかる。
寝台が二人分の体重を受け、大きく軋んだ。

「こら!……もう、キスはおしまい、だめでしょ」

わずかな抵抗。
瞼を舐める。頬を舐める。くちびるを舐める。首筋を舐める。
さらに下も……静雄が思った瞬間、鉄拳が飛んだ。

「朝っぱらからなに考えてるの!? それに耳としっぽをなんとかするのが先でしょ。こら、おっぱいもむな!」

違うんだ、手が勝手に。
口走ると、正座が待っていた。

「待てができないわんこなんて駄犬なんだからね」
「はい」

しっぽがたれる。犬耳もしょぼん。
すると彼女の白い指先が髪をすくって梳かした。仕方ないなー、ため息が落ちる。

「犯人に心当たりあるの? まあこんな珍妙なことできる人なんて私も新羅君くらいしか思いつかないけど」
「たぶん、昨日あいつんち寄ったからその時だろ。妙に歓迎してくるから変だと思ったんだ……コロス」

殺意は頬を撫でる指によって霧散した。
目線を併せて小首を傾げる愛らしい顔。

「困った友達ね」
「ただの腐れ縁だ」
「そういうことでも構わないけど。じゃあ行こうか」

言って彼女が取り出したのは、



(よく考えたらしっぽを掴める=半ケt……以下自粛)

新羅宅

ジャージにTシャツ帽子というラフな出で立ちで歩く。
こういう格好も似合うな、なんて思いながら樹脂で固められた様にがっちり繋がれた掌を眺めた。頬がほんのり赤らむ。

「……?」
「なんでもない」

照れ屋の彼は、人前だと少し離れて歩く。
普段と違う行動に少し浮かれて───そんな余裕があったのはこの時までだったのだが。





「新羅ー! てめぇとっとと出てこい!!」
「静くん、近所迷惑でしょ。 めっ」
「……だけどよ」
「めっ」

くちびるの前で指を振って見つめる。
次いで新羅家のインターフォンを押した。
私は気づかなかった。
「めっ」と注意した直後から無言になったことに。無言で私のくちびるを見つめていたことも。

「やぁ、静雄君遅かった……ね? おやおや」
『静雄すまない、私がふがgagagagaga……みてなi私haなにmmoooo見てないぞoo』

扉が開いて、家主の新羅君とセルティが顔を出した。
挨拶に口を開こうとした瞬間、

「ん……ぅ!?」

強引に顎を上向かされ、くちびるを奪われた。
ねじ込まれる舌先。帽子の中で耳がぴょこぴょこと動き、ジャージの中でしっぽがブンブン揺れた。

「静……ぁっ……っ」

笑顔の新羅君と文字化けしたPADをこちらに向けて顔を背けるセルティの前で、羞恥プレイは五分ほど続いた。
……や、私も途中から気持ちよくなって一緒にしてしまったのだか……いや、でも……。
だがべったりくっついた彼の腕が考える暇を与えてくれない。
お尻を、触るなぁーーー!!!





静くんを殴って止めて、案内された部屋のソファーに腰掛けた。

「で、これはどういうことな……ぁんっ」

二人に見せようと帽子をとる。
瞬間大きな掌が胸を揉みしだいた。

「静くん!!」
「……悪りぃ、なんか目の前にあったからつい」
「つい、じゃないでしょ!!」

朝から気づいてたけど、完全に確信した。
静くんがおかしい。
どういうこと?
新羅君に目で問いかけると、思い切り遮られた。

「新羅、を見んな!」
「静雄君は彼女のこととなると理論が完全欠壊するよね。大体にして僕には連理の枝、比翼の鳥と言うべきセルティがいるのに、イタタタタ!」
『人前で恥ずかしいことを言うな』
「それを言うなら人前でもっと恥ずかしいことをしてる人達がいるじゃないか」
『……それはそれ、これはこれってやつだ』

セルティと目が合う……顔はないのだが、合ったような気がした。
───恥ずかしい。
彼女のことは嫌いじゃないが、こういう場面での自分と相性が悪いことくらいわかってる。真面目な彼女に見られると恥ずかしい!
こんなプレイを強要されたのは初めてだ。

「もうヤダ! 離して!!」
「…………」

本気で怒ったら離してくれた。
でも犬耳は足れ、大の男のくせに異常に可愛い顔で見つめる。

「……ん……もう、馬鹿っ」

誰にも聞こえない様に呟き熱を帯びた頬を隠して、耳元にくちびるを寄せた。

「……家でね」

すると激しくしっぽが揺れ、ジャージが破れるんじゃないかと気が気じゃなかった。
押さえて振り向く。

「……で、これどういうことなの?」
「僕も驚いてるよ。本当に生えるとはね。驚天動地とは正にこのこと!」

検査させてくれない?伸びた手に、うなり声をあげた。

「待て」
「きゅーん」

新羅君をセルティが謎の物質でつつき、私は静くんの両手を押さえる。
黙って話を促した。
結論から言うとこういう事らしい。

【怪しいルートから手に入れた薬を使ってみたかったから】

こめかみがひくついた。
しかし私がキレたら抑えがきかなくなる。
声が震えるのを堪えて問いかけた。

「どうすれば戻るの?」
「そんな方法ないよ。……静雄君殴るのはちょっと待って、ないというか時間がたてば勝手に戻るから」
「いつ頃?」
「……一週間くらい?」
「いだだだだだだだ!!」

胸ぐら掴まれて天井が近くなった新羅君の悲鳴を目前に考え込む。

「早く戻す方法はないの?」

すると解放された白衣は爽やかな笑顔を浮かべた。

「そうだね、ようは代謝を良くして早めに薬を分解すればいいんだから……二人で運動すればいいんじゃない?」

よし、殺す。
明らかに喜んだ静くんのお尻を抓り、立ち上がった。

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