虹のようだと思った。
近くにいても、遠い人。
銀色の髪が夕闇を映し、闇を含んだ瞳が愛しい光彩を放つ。
運命なんて言葉、信じたくはないけれど、
出会った瞬間にどうしようもないほど惹かれていた。
しかしそれは一瞬、
我に返り自嘲気味に哂った。
分かっていた事だ。
静蘭が秀麗のものだということは。
(勝てるわけない)
この想いは閉じ込めて、隠して、ないものと思い込むことにする。
それに――優先すべきは、世界への帰還。
だから、これは恋ではない。
その言葉を百回唱えた
わたしの名前は。役者だ。