いつか革命する世界で

三条院千種

謎を解く為のヒントは三つ。

・パーティーの停電は配電室の電源を落とされたことによる。その際鍵は壊されたのではなく、合鍵を使用されていた。
・停電直前、私と踊った美人さん。仮面をつけていたとはいえ、どうみても白亜のフェンシング場で会ったあの人だった。
・犯人は25日にウテナと決闘することを望んでいる。

理事長っぽくない?
あの人怪しいし。しかもこの妙に出ばり過ぎな生徒会を押さえられるほどの存在と言ったら彼くらしか思い浮かばない。あとえーとなんて名前だっけ?そう、三条院千種。
……じゃあ実行犯があの人で、真犯人理事長ってことで。
よし、解決!───でも証拠がないと訴えるのは難しいよね。
じゃあ集めますか☆
と思ったらあっちから転校してきた。

「三条院千種です。 見えないかも知れないけど性別は女。 しばらく病欠していたのでみんなより年は三つ上になるけどよろしく」

さらに私の隣りの席。
美形ってすごいね。休み時間になるやあっという間に彼女の周りに人だかりができた。確かに貴族然とした美貌とスラリとした長身は目立つし、羨望を禁じ得ない。
だが彼女は私に話しかけた。自己紹介や雑談の後、

「君の名前って誰がつけたの?……お父さん、それともお母さん?」
「お父さんだけど」

変な質問。
そして昨日会いましたよね?と問いかけると千種さんはしらばっくれた。あれ、もしかして私の勘違い……なわけない。白亜のフェンシング場で会ったのも仮面舞踏会で一緒に踊ったのもあんただろうが。
でも「お父さん」答えた瞬間彼女が見せた表情があまりに複雑で、

「そう……お父さんなんだ……」
「千種さん、うちのお父さん知ってるの?」
「そんなわけないだろう。 馬鹿だな」

千種さんには犯人云々以前に何かある。
だから私は一つの決断をした。

「ねえ千種さん、私と友達になって?」

本気だ。
目を見開いて驚く彼女に向けて、静かに微笑んだ。