いつか革命する世界で

廃墟と麗人と生徒会名簿

「……フェンシング場は白亜じゃない? ならこの旧フェンシング場っていうのは……」
「旧フェンシング場は東館近くの廃墟よ」

廃墟?
午後の授業は特筆して変わった事も起こらず、放課後がやってきた。晴れ晴れとした表情で部活に遊びにと歩き出す同級生たち。だが名探偵には遊んでいる暇などない。
というわけで新聞部へ。
しかし訪れた部室で大変なものを見つけてしまった。
『旧フェンシング場の怪』という記事。
この写真の旧フェンシング場は、あの白亜のフェンシング場ではないか。何故この写真では廃墟と化しているのだ。しかも十五年前の火災で燃えたって……?
じゃあ私の見たものは幻覚だったとでも?

そんなわけない。

後で確認する必要がありそうだ。
しかしながらその前に『十五年前の火災』を調べることに決めた。不思議な胸騒ぎがしたから。急がなければヒントが消えてしまうよう、そんな予感する。
私は足早に図書館に向かった。
そしてあまりの豪華絢爛さに調べものも忘れて、目を見開く。
学校の図書館の規模を超えている。
挙動不審にキョロキョロしていると人とぶつかってしまった。

「わっ」
「ごめんよ、そっち大丈夫かい?」
「あれ、千種さん」
「……なんだ君か」

なんだチミはってか……ってこのネタ、きっと……いやなんでもない。
それはさておき、千種さんとぶつかった。私の前方不注意。衝撃で彼女は手にした本を取り落とす。
慌てて拾おう屈むと、静止の言葉がかかった。
題名だけ見える。

(十五年前の生徒名簿……?)

首をひねる、だが考え込む間を与えられなかった。

「で、こんな辛気くさいところに何の用だい?」
「んー探偵ごっこかな?」
「探偵?」
「そう探偵! ところで千種さん、あとで一緒にお茶しない?」
「……どうして?」

暗い瞳が伺う様に見つめた。
だから私は堂々とない胸を張る。

「もちろん理由は一つ! 私がそうしたいから!!」
「……はは、君は面白いね。 いいよ、じゃあ後でね」
「うん」

にっこり笑って、手を振った。