いつか革命する世界で

有栖川樹璃



飛び散る汗!
弾ける肉体美!
私はフェンシング場にいた。
学校の設備、という観点から言えば豪華な造りをしているだろう。
だが、白亜ではない。
昨日見た白亜のフェンシング場は、新聞の通り廃墟と化していた。では、私が見たものは一体……?

「見学? それとも入部?」

入り口付近で考え込んでいると、部員らしき女性から声をかけられた。

「……道具はお借りできますか?」
「部長ー! 入部希望の子です!!」

いやまだ入るとは一言も言ってないけど。
ま、いいか。
それにしても返す返すも悔しいのは、自分のフェンシング道具一式をクソ親父に回収されてしまったことだ。お母さんの取りなしでサーベルだけは持って来られたけど、元はあいつのお古だし、納得いかない。
しかしレンタルさせてくれるようだし、気分を変えよう。だって超高校生級と名高い有栖川樹璃に手合わせ願えるかもしれないのだから。

「君は東館に入った転校生か」
「はい、有栖川先輩。もしよろしければ相手をしてもらえませんか?」
「いいだろう」

よし!
心中でガッツポーズをし、着替える。
そして、

「はっ!!」

サーベルの勝ち合う甲高い音が響いた。
周囲の音が消える。
部員達の視線が集まり、呟きが聞こえた。

「部長と互角……!!」

ではない。このままでは押し負ける!
思い切って、足を踏み出した。

「やあー!!」
「来い!!」

決着は一瞬。
サーベルが甲高い悲鳴を上げた。
……負け。

「はぁ、はぁ……先輩強いですね」
「君もな」

思わずへたり込み肩で荒い息を吐く。
彼女は驚き顔で見つめ、次いで手を差し伸べた。

「強いな、名前は?」
です、先輩」
……ひょっとして昨年の全中女子フェンシング大会優勝の?」
「そうです」

彼女の言葉に、フェンシング場が喧騒に満ちた。







そんなに意外かしら?
その後幹君とも手合わせし、樹璃先輩と一緒にシャワーを浴びた。
ボンキュ、ボーンいや、ボンキュキュ?美尻だね!
鼻血出るかと思ったよ。役得、役得!!


なんてやっているうちに、
三条院千種対西園寺恭一。
フェンシングVS剣道なんて無茶振りバトルが繰り広げられていたことを後に知るのだった。