いつか革命する世界で

激写!音楽室と美少年の秘密(仮)

千種さん達と別れた後、街中をブラブラと散策し、学園へ戻った。
そのまま東館へ帰ろうかと思ったけど、まだ体力も余っているし何より遊びたい。結果として薄暗い校内を目的もなく歩くことにした。
するとピアノの音が聞こる。
学園七不思議キタコレ!と思いながら音源へ向かった。
そして扉を静かに開き、覗くと現れたのはベートーベンの彫像、ではなく青い髪の美少年だった。
ピアノを弾く美少年とかマジ二次元(*´Д`*)もしかして私二次元に来ちゃったの!?そうなの!?

「誰だ!?」
「やっほーお邪魔しまーす。みんなのアイドル、ちゃんでぇす!キラリン☆」
「……貴女ですか」

目が合った瞬間、心なしがっかりした顔をされたような。
失敬な!ちゃん怒っちゃうぞ。
という冗談は置いておいて、音楽室を見回し、ニヤニヤしながら幹くんの隣に腰掛けた。彼はピアノの椅子ごと反対に逃げる。

「ミッキーピアノ上手いんだね!私に遠慮せずもっと弾いて良いんだよ」
「……はぁ」

呆れた顔でため息をつきつつも、私と会話をするよりマシと思ったのか、白い指先が鍵盤を走った。
空気が変わる。
薄暗い音楽室が初夏の庭園に。
光さす庭。
確かそんなタイトルだった気がする。口に出すと、これは僕たちが作った曲なんです、と返ってきた。驚いて問いかける。

「あの……梢ちゃんだっけ?二人で作ったの?」
「はい、梢のこと知ってるんですか?」
「さっき町中で会ったよ」
「……そうですか」

仲がいいんだね、と呟いたら子供の頃の話ですと、苦悩混じる表情で俯いた。
その苦しそうな顔を見ていると、

「美少年の苦悶の表情、グヘヘヘヘ」
「バカにしてるんですか!?」

ジャーン!という音と共に立ち上がった幹くん。私はそれを見て表情を消した。

「だって茶化さないとやってられないじゃない。家族間のことってさ」

するとたじろぎ、はっとした表情で私を見た。

「先輩……すいませんでした」
「なんで謝るのさ?でも美少年の憂い顔もこれはこれで」

ニヤニヤ笑うと、またため息をつかれた。でも心なしか表情が柔らかい。
澄み切ったピアノの音色が音楽室に響く。
伸びをして、耳を澄ませるとそこは光指す庭だった。