保健室の先生×静雄を妄想してたら出て来た小話。
静雄夢ヒロインが先生で静雄が生徒です。静雄←ヒロインで、野球拳とは違って結構まともです(笑)
有り体に言えば一目惚れ。
本当にありがちで平凡で。
一つだけ普通と違ったのは、私は「先生」で彼は「生徒」だったということ。
ただそれだけだった。
でもそれは近くて遠い私たちの距離を作る。
「はい、手当て完了!」
「……どうも」
目を反らして呟く。
彼は保健室の常連だ。
毎日のように喧嘩をふっかけられ、大暴れをし、自分も傷つける。いくら強靭で、異常なほど回復の早い肉体だって怪我をすれば痛いだろう。
少しでも癒せればいいのに……思って苦笑した。
「……先生」
「ん?」
「……ないんすか」
「ごめん聞こえなかった」
すると平和島君はこちらを見て、痛々しく目を細めた。
「先生は俺が怖くないんすか」
思わず見つめ返す。すると「なんでもないっす」言って立ち去ろうとしたから、
「怖くないよ」
ワイシャツの裾を握りしめて止めた。
驚きに見開く瞳。
傷ついて、信じたくて、でも……。
「怖くない」
微笑んで、青藤色のブレザーを手渡した。
「だからいつでも来てね」
自分の感情は隠して、優しい先生であれるように、願って。
ドアに手をかけると鍵が空いていて、しまった戸締まり忘れた……なんて呟いて。
ポリポリと頭を掻き、白衣の裾を払った。
そして室内を見回る。
貴重品に変化なし。ベットは……。
「あら?」
誰か寝ている。
静かにカーテンを開けるとそこにあったのは、
「え……とこれは私に対する挑戦、とか?」
平和島君の寝顔だった。
涎が出そうになるのを堪えて、観察する。
男の子とは思えない色白で透き通った肌。金髪の髪は猫の毛みたいにさらさらで、頬にかかるのが妙に色っぽかった。
「いやいやいや」
気がつくと乗り出していた身体を戻して、カーテンを閉じる。
椅子に座り、未処理の仕事に手を付けた。
五分、十分……。
貧乏揺すりしたいほど気持ちが落ち着かない。
「はぁ……」
困った恋慕にため息をついて。